COLUMN TOP

回転寿司のポジション

プロレスと回転寿司は同じ境遇にあるのではないか?と思ったことがある。
なにか世間から不当な評価を受けている、真の姿が理解されていない、
そんな気がしていたのである。
回転寿司なんてのは寿司じゃねぇ」などといまだに思っている輩も多くいると聞く。
当たり前である、いわゆる寿司と回転寿司は別物なんである。
なんといっても回転寿司は廻っているのである。その時点で廻っていない普通の寿司とは格が違う。
その当たり前のことがどうも理解していない人が多い。というか、理解できない人が多い、ということか。
そもそも別物であるからして、比較すること自体がナンセンスなんである。
プロレスなんてのは八百長だからよ」というのと一緒である。
プロレスの本質を理解せずに勝手に真剣勝負の世界を思い描いて比較しているのである。

この誤解というかモノの本質を見極めようとしないエセ本物志向を気取る輩たちのおかげで、「回転寿司は寿司よりランクが下のもの」などというレッテルが一部で張られていたが、ここにきてようやく回転寿司という独立したジャンルが認められてきたように思う。
それは高級志向系回転寿司屋の登場によってもたらされた。
つまり、エセ本物志向の輩の中では、「高級か否か」「本物か否か」が問題なのである。

しかしながら、回転寿司の本質は、本物だとか高級だとかそんなことではない。
回転寿司の本質とはあくまでも廻っている、ということなのだ。
ところが、我々は廻っているということをネガティブに捉えてしまっている。
廻っているけど美味い
廻っているけど立ち寿司屋と同じレベルだ」というように。
廻っている=普通の寿司と違う=レベルが下、という固定観念からいまだ脱せずにいるわけである。
廻っているから楽しい
廻っているから回転寿司
と廻っていることをポジティブに捉えると回転寿司のポジションというのが自ずと見えてくる。

では、回転寿司とは食べ物の中でどのジャンルにはいるのか?
手軽、早い、安い、ということを考えれば、ファーストフードといってもおかしくはない。
外国人向けのガイドブックには「ジャパニーズ・ファーストフード」と紹介されているとも聞く。そもそも回転寿司とは高級イメージの寿司を安く、しかも手軽に食べさせる、というところから出発しているわけだから、ファーストフード的要素は多分にある。

次に人々はどんなときに回転寿司を食べたくなるか?
激安・均一価格系の店なんかは、そこに店があったから、手軽だからという理由で選ばれたりするのではないか。
午後2時から5時頃は買い物帰りのおばさんたちが仲間と訪れる。
ちょっと小腹が空いた時に自分の食べたい量だけ食べられる、というのは使い勝手がよい。
このあたりもファーストフード的要素は強そうだ。
これとは逆に高級業態の回転寿司屋や素材重視の美味回転寿司屋などへはわざわざと出掛けるだろう。
ちゃんとしたディナーとして十分に通用する店だからだ。

最近の外食産業のキーワードの一つに「癒し系居酒屋」というのがあるが、居心地のいい空間作りは回転寿司にも取り入れられつつあり、高級志向・居酒屋割烹系の店にはその手の店が増えている。
そもそも回転寿司とはその名のごとく、客の回転率を高めて利益を上げる、という業態をとっていただけに、 回転寿司業界的には相反する施策ではある。
しかし、この業態が回転寿司の未来を担っていることは間違いない。

となると、これから回転寿司業界は二極化していくことが考えられる。
ファーストフード的ポジションのお手軽回転寿司屋と居酒屋的ポジションのディナー系回転寿司屋の。
つまりはカジュアル回転寿司か、フォーマル回転寿司か。

回転寿司もシチュエーション別にどんな店に行くかを選ぶ時代に突入したのである。