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回転寿司のトレンド
食べ物というジャンルの中で回転寿司はちょっと特殊な位置にいるのではないだろうか?
何が特殊かというと時代時代に合わせた「トレンド」というものが存在するからだ。
たとえば、ラーメンなんかの場合、醤油時代・とんこつブーム、魚介、鶏ガラのWスープ、つけ麺ブーム、ご当地麺などの各ブームがあったが、それはすべからく味によるものである。
しかしながら、回転寿司の場合、味以外の部分でトレンドというものが存在していた。
まずは「安い」「気軽」から始まった。
時は高度成長期、物価も上がり、回転寿司が庶民の心強い味方となっていた時代だ。
この「安い」「気軽」の2大看板の時代は長く続く。
いまだに回転寿司に対するイメージのトップ2を死守しているくらいだ。
そして、回転寿司に暗黒の時代が訪れる。
「安いだけでたいして美味しくない」
「店の雰囲気もサービスもあまりにもおざなりすぎる」
との批判が続出し、客足が一気に遠のいた。
そりゃそうである。営業努力をさしてせず、なんだかわからない魚を食べさせられたり、接客も傲慢で…という店があまりにも多すぎた。回転寿司LOVEの私でさえ、この時期の回転寿司屋にはほとんど寄りつかなかったほどである。
この危機的状況を打破したのが「デカネタ」であった。
それまで10〜15グラムぐらいであったネタが一気に20グラムにまでなったのだ。
安い上に腹一杯になって、しかも味も上々、ということで、再び回転寿司業界に活気が戻ってきた。
「安いけれど美味い」
「安いけれど腹が一杯になる」
これが第2のトレンドだ。
ここから一気に回転寿司業界がグルメ志向に向かった。
いわゆる「安い」「気軽」という回転寿司の大前提に+αの付加価値が求められるようになってきた時代である。
これからが近代回転寿司の実力発揮となる。
デカネタ・グルメ化の波はメニューの充実となってまずあらわれる。
寿司だけでなくサイドメニューを充実させる店が増え、また家族向けにBOX席を設けたファミレス化した店作りがブームになる。
これが第3のトレンド。
そして、21世紀を迎えると高級志向・居酒屋割烹系の時代を迎える。
いまの回転寿司のトレンドは、居酒屋感覚で使えるくつろげる回転寿司屋。
アルコールや一品料理が充実して、普通の寿司屋で飲み食べしているような感覚で過ごせて、しかも値段は回転寿司価格。
この手の高級業態の回転寿司屋がここ数年でだいぶ増えてきた。
もちろん、ネタのトレンドも時代時代で変遷を遂げている。
デカネタブーム以降のトレンドを見てみるとこれからは創作寿司の時代を迎える。
まず最初に飛び出たのが、 サーモンに代表されるカルパッチョネタである。
ネタの上にマヨネーズやら色とりどりの野菜やらが乗り、見た目がとても華やかになった。
これで女性客の心をグッと掴んだのか、次々と女性客よりのネタが誕生していく。
ロール寿司や変わり種の軍艦などが次々と登場し、レーンの上はまさに遊園地のごとく愉しい空間になっていった。
ネタの百花繚乱時代に突入していくのである。
高級業態の回転寿司屋が増えていく中、人気店の多くはオリジナル寿司、レアネタ寿司、変わりネタ寿司、旬の寿司などを豊富に取りそろえていく。
マグロやイカなどの定番系はいくら安かろうが、ネタが良かろうがそれだけでは引きにならなくなってきており、いかに見た目が楽しいか、普通の寿司屋ではお目にかかれないような回転寿司ならではの派手な寿司があるか、これが重要なポイントになってきた。
そこに現れたのが炙りネタである。
トロやサーモン、サンマにイワシなど生のネタにはない魅力でお客の心をグッと引きつけた。
「とにかく美味そうに見えた」
炙りネタを初めて回転寿司のレーンで見たとき私はそう感じたのをいまだに覚えている。
炙りネタは美味しそうに見えるので回転寿司にはもってこい。普通の寿司屋では邪道とされるものこそ、回転寿司の王道なのである。
創作寿司が全盛を迎え、回転寿司屋が心ウキウキする楽しい場所と認知されると今度は味へのこだわりが重要となってきた。
産地直送の新鮮さを売りにする店、本マグロを安価で提供する店、水産問屋が経営する店などが続々と人気を博していった。
そんな中でブームを巻き起こしたのが、合い盛り・三貫盛りである。いろんな種類をちょっとづつ食べたいという顧客ニーズと見た目の豪華さが受けたのか、激安店などを除く多くの店で三貫盛りを見かけるようになった。
マグロ、炙りネタ、エビ、イカ、軍艦、貝、旬ネタ…様々な種類の三貫盛りが登場しているが、この三貫盛りの時代はしばらく続くだろう。
「 大トロも中トロも赤身も食べたいけど値段が…」と気になる向きにも1貫づつのった三貫盛りはやはり魅力。安いだけが魅力で顧客ニーズなど考えもしなかった時代を考えるとようやくここまで進化したな、というのが率直な感想だ。
これからの回転寿司は顧客ニーズをいち早く発掘して、それに応えるメニューを開発していくか、というのがポイントになるだろう。
次なるトレンドは何か?
回転寿司はまだまだ進化を続ける食べ物なんである。



