今週のお店探訪TOP
第3回 「おたる寿司」
今週は学芸大学の「おたる寿司」を訪問。
「おたる寿司」は100円均一の大手チェーン店である。
100円均一の大手チェーン店というとかっぱ寿司、無添くら寿司、すしおんど、あきんどスシロー、元祖寿司などが挙げられ、おたる寿司は100円均一業界ではセカンドグループに位置していると考えられる。
これらの店のメインターゲットはファミリー層だけに大箱な店が多く、子供が喜ぶネタやデザート類などのサイドメニューが充実しているのが特徴か。
ま、こだわり派の回転寿司ファン的には「見向きもしない」という方も多いかと思うが、
とにかく安くあげたいとき、子供を連れて行くときにはたのもしい店となるはずだ。
そんな店に平日の午後3時すぎ訪れてみることにした。
店に入り、ぐるりと見回す。
お客は……いない。
でもって、店員も……いない。
ホールは完全に無人状態だった。
やはりこんな時間にはあまり人が訪れないのか、店員がスタンバってはいなかった。
席に着くとすぐホール係が現れた。
お椀をすすめられたが、私はお椀を登板させるのは中盤戦以降と決めている。
固く辞して、レーンの上を眺めてみる。
この時間には珍しくいろいろな皿がちゃんと廻っている。
あまり客が訪れない店などでは、この時間は完全注文制にして皿を廻さない店も多いが、
ここでは誰もいなくてもちゃんと皿が廻っている。
しかし、である。
廻っている皿はおそらく午前中から延々と廻っていたのであろう。
いかにものくたびれたネタばかりなのである。
どんな勇気があろう者でも手を伸ばして食べるには至るまい。
彼らはあまりにもくたびれている。
その乾燥し果てた姿はもはやロウで出来た見本のように感じる。
そこではたと思う。
彼らは見本として廻っているわけだ。
どんなに空いている店でもやはり皿が廻っていないと寂しい。
回転寿司屋としてのウキウキ感というものが沸いてこない。
たとえどんなにお疲れな姿でも廻っていればそれはそれで楽しいものである。
なので、廻っている寿司を参考に注文を入れる。
100円均一大手チェーンではお馴染みのスピーカーにて注文を入れる。
しばらくすると「注文品」と書かれた台の上に乗って皿が出てきた。
混雑しているときなどはよく間違えて他人の注文品を取ったりする人もいるが、
客が私しかいないのであれば、間違いようがない。
寿司を作る人々は客の目にはふれない場所にいる。
よって、広いホールには私と時折姿を見せるホール係のみ…
アンニュイだ。
まさにアンニュイな午後…
ちょちょちょいと古いが「ニートな午後3時」(by松原みき)ってなもんである。
![]() |
![]() |
![]() |
|||
炙りトロ〆さば 105円 |
いくらネギトロ 105円 |
炙り牡蠣軍艦 110円 |
大箱の回転寿司屋にもかかわらず、誰もいないがらんとした空間で、ひとり100円寿司を食べる…
きっと週末などは家族連れできぎわっているに違いない。
ランチ時にも付近の会社員などが訪れていることだろう。
しかし、この時間帯には一部の人気店を除いてはあまり客は来ない。
回転寿司屋は皿が廻っていてこその回転寿司だけに
いくら客が来ないからといって皿が廻っていないのは寂しい。
しかし、客が来ないのに皿を廻していてもどうなのよ、ってな気になるのも当然。
それらの皿が成仏することはない。
廻したいが廻せない。
廻せないが廻したい。
これが回転寿司業界のジレンマか…
もちろん、客があまり来ない以上、注文で対応するのも一つの手であり、
客的にも必ず握りたてが食べられるので、むしろうれしいと思う方もいるだろ。
しかし、100円均一のチェーン店でレーンが廻っていなかったら、
なんのために来たんだかわからない。
寿司の味はそれなりだけに皿が廻っていることが一番のエンタメなはず。
たとえガビガビの寿司であろうとも廻っている意味は十分にあるのである。
そんなことを感じながらバクバクと寿司を食べた。
冬のフェアが開催中で、1皿210円の特選ネタもメニューに並んでいる。
視線は目の前のレーンに釘付け。
ショートカットされたレーンに並ぶ皿の数はそれほど多くなく、
新しい皿も追加投入されない状況だけに皿の順番を覚えてしまったほどだ。
それが回転寿司屋で過ごすアンニュイな午後。
このしみじみとした気分こそが回転寿司屋のワビでありサビであるのではないだろうか?
そんなわけでたった一人でかれこれ30分は過ごしただろうか。
ついに他の客の登場とあいなったが、これが回転寿司屋には似つかかない
いまどきの女子大生風。
しかもたった一人ときている。
いったいどんな人物なんだろうか…
ちと観察しているとひたすらメールを打っていた。
こういう女の子は注文するのが苦手な子が多い。
注文しなくていいから回転寿司が好きだ!という女の子もいる。
案の定、彼女はレーンを廻っているくたびれ果てた寿司に手を伸ばした。
これもまた人生か…
回転寿司屋の午後のひとときには、ひと味違った楽しみがあるのである。
今回の評価


「おたる寿司」 学芸大学店
住所:東京都目黒区鷹番3-19-10
電話:03-3714-5531
営業時間:11:00〜23:00
定休日:無休




